第八章 スポーツは体にわるい
思わずドキッとするようなタイトルですが、『スポーツは体にわるい』(加藤邦彦著 光文社刊)が出版されベストセラーになったのは九二年のことでした。
ところで第四章でも触れましたように、私たちが肺から取り入れた酸素の約二パーセントが活性酸素になるといわれています。したがって、激しいスポーツをして取り入れる酸素の量が増えれば増えるほど、それだけ多くの活性酸素が体内に発生してしまう結果になるわけです。同書の一六〜一七頁には次のような興味深い記述が見られます。
「・・・イエバエを二五〇ミリリットルの容積のガラスビンと、容積がその一〇〇倍以上もある二七リットルのカゴに一匹ずつ入れて飼育する実験を、多数のハエについて行ってみた。当然、窮屈なガラスビンの中のハエの運動量は少なくなるわけだが、平均寿命は、ガラスビンの中のハエは三九日、大きなカゴの中のハエは一六日と、運動量の多いハエの寿命は半分以下になった。・・・」
最近では、酸素バーが流行したり酸素水という水製品が市販されていますが、同書の二三頁には「一〇〇パーセント酸素のもとでは、生きてゆけない」との小見出しで、次のような注目すべき記述があります。
「酸素が寿命を縮めるもの、つまりは体にとって有害なもの、と聞かされると、驚かれる方も多いだろう。私たちは、小学校や中学校の理科の時間に、生物にとって酸素がいかに大切かということを教えられてきた。たとえば、数分間酸素の供給を断たれただけで、ヒトをはじめたいていの哺乳動物は絶命してしまう。地球の大気には、二〇.九パーセントの酸素が含まれているが、その濃度を上げると、どのような影響が出るだろうか。・・・たとえば、酸素濃度を五〇〜六〇パーセントに設定した環境でネズミを飼育してみた。すると、非常に短命になることが判明した。通常、ネズミの寿命は約三年半であるが、それが約半分にまで短縮してしまったのである。・・・以上の実験からも、酸素濃度を高めれば、さぞかし気分もよく、健康にもプラスだろうと考えるのは錯覚であることは明らかだ。ちなみに、人間の場合でも、一〇〇パーセント酸素下においては、十二時間以内に肺などに障害が発生するという報告がある。さらに吸入を続ければ、もちろん死に至る。」
過ぎたるは及ばざるがごとし、という諺がありますが酸素はまさにその典型です。
今やアスレチック・クラブ、フィットネス・クラブの全盛時代だといえますが、スポーツに励む人には「新しい水」はまさに必需品だといわねばなりません。
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第九章 食品添加物の恐怖 --->>>
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