○ 世界初の人工がん
世界で初めて人工的に癌をつくり出すことに成功したのは実は日本人研究者の山極勝三郎博士(1863〜1930)です。彼は1885年に東京帝大医学部に入学、卒業時は首席という成績を残し1891年からドイツに留学、帰国後の1895年には32歳の若さで東京帝大医学部教授に就任しています。彼は助手の市川厚一と共にただひたすらウサギの耳にコールタールを塗布し続けるという地道な作業を3年以上にわたって続け反復実験を行った結果、1915年にはついに世界で初めて人工癌の発生に成功したのです。
「ヤマギワ・イチカワのタール癌」として世界的に有名です。
⇒ウィキペディア
ノ−ベル賞といえば世界最高の科学賞とされていますが、発足したのは20世紀の始まった1901年のことで、その第一回目の物理学賞の受賞者が1895年にX線を発見したかの有名なドイツ人のヴィルヘルム・レントゲン(1845〜1923)でした。
山極博士の業績もノーベル賞に値するというべきでしょうが、当時選考委員の一人であったスウェーデンのフォルケ・ヘンシェンは後日来日した際に「山極にノーベル賞を与えるべきであった」と当時の選考委員のミスを悔やんだといわれます。
山極博士の「癌できつ 意気昂然と 二歩三歩」という句が残されていますが、博士の胸の高まりがいまにも聞こえてくるようです。
○ 大腸がんは山極がん
ところで最近では大腸がんの症例が急増していて、この20年間で大腸がんの患者数は約4倍に増えているといわれます。ここで右下のイラストをご覧ください。
統計的には、説明にあるように大腸がんは全体の約70%が排泄口に近い肛門つまり直腸やS状結腸の部位に発生することが分かっています。

さて私たちの口から摂った飲食物は食道や胃を通り消化を受けたのち小腸を通過し、やがて上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸に運ばれていき、やがて肛門から排泄されていくことになるわけです。
ところで、ここで注目すべきなのが排泄される前の腸内容物がどのような状態かという問題です。つまり「百年の恋も一度に冷めるような腸内容物」を大腸内に溜め込んで平然としている人、とくに便秘気味で長時間にわたり大腸に溜め込んでいる人ほど「がん」にかかる危険性は高くなることは明白だといえましょう。
ところで山極博士の発見した、発がん性物質による慢性刺激が細胞のがん化をもたらすという世界初の人工がん発生の業績を継承すべき現在日本のがん研究者たちが、悪臭便の大腸内貯留による慢性刺激が大腸粘膜細胞のがん化を誘発する危険性についてはほとんど一般国民に対して啓蒙しようともしないのは、世界に誇る山極博士の業績を蔑(ないがし)ろにするものであると言わねばなりません。